菜紀も続いて真の教室に足を踏み入れた。
やはり、教室の中も時間は止まっていた。
立って友人と話していたらしい女子生徒、本を開いて椅子に座っている男子生徒も誰一人として動かない。
まるで、蝋人形のように教室に散乱している。
「真?」
真は自分の席に座った。
彼は何か思い詰めているようだった。
「どうかした?」
「ずっと、このままなのか…」
「…真」
そっと菜紀は真を後ろから抱きしめた。
急に菜紀は彼が小さな子供のように見えた。
「…実は、俺が時間を止めたのかもしれない」
「えっ!?」
菜紀はその言葉を聞き間違えだと思った。
だが、真は俯いて声が震えていた。
窓の外では雨が降り続けている。
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