真はその『髪飾り』を見て、12年前の今日を鮮明に思い出した。




―12年前―


「これ、貰って」


とても可愛らしい少女に真は手に握っていた物を差し出す。

少女はそれを手に取ると、まじまじと見つめている。


「…きれい。真君、これなぁに?」


「これは髪飾りだよ。髪を美しく飾る用具なんだ」


真は同じ位の歳の子達よりも語彙などが発達していた。

周囲の大人は彼を『秀才』と言っていた。


「真君は何でも知ってて、すごいねぇ〜っ!」


「そんなこと無いよ」


真は少し恥ずかしそうにしながら、俯いている。


「真君、髪飾りありがとうっ!」


「どういたしまして。あのさ、約束して欲しい事があるんだけど…、いい?」


真は少女の顔を横目で見た。


「うんっ!私に出来る事なら良いよ」


真は少し緊張しながら言う。

「俺と…」