「悪かった、もう言わないよ」


真は少し俯いて反省しているようだ。


「そういえば、今日から5月だね」


「ああ、そうだな」


真が曖昧に返事をしたので、菜紀は横目で睨む。

それに気付き、真は顔を逸らした。


「真、あの日の約束覚えてる?」


「急にどうしたんだ?!」

真は目が点になって、本当に驚いているようだ。

真は苦笑いを浮かべて答えた。


「俺がお前に言ったことだし、二人だけの約束だから覚えているよ」


「真、あの約束は嘘じゃないよね?信じていいんだよね?」


菜紀の目が潤んでいる。

菜紀は真に何かを差し出した。

差し出された物はトルコ石が付いる『髪飾り』だった。