―それから7年後―
小さな少女が菜紀の所に叫びながら走ってきた。
少女は5歳くらいで頭が大きい為、今にも転びそうである。
「ママっ!パパが凛のこと虐めるのっ!」
少女は後ろから来る男性を指差して怒っている。
「凛、早く寝なさい」
父親らしき男性が言う。
少女は膨れっ面で男性を睨む。
「凛ちゃん、パパは凛ちゃんの事を考えて言っているのよ」
菜紀は微笑み、少女を宥める。
「…分かった、今日はもう寝る」
少女は「おやすみなさい」と言って、部屋戻った。
菜紀の髪にはトルコ石が目立つ髪飾りが付けてある。
彼女の黒髪にとても似合っている。
ふと、菜紀は玄関の窓から外を見た。
家の表札には『片瀬』という字が見えた。
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