真辺 菜紀は玄関の窓を見た。

空は曇っており、今にも雨が降りそうである。

今朝のテレビの天気予報によると、今日は曇りのうち晴れであったが、この空模様では昼前には雨が降りそうだ。


菜紀は窓際から目を離し、傘立ての中のビニール傘を掴もうとした時、背後から女性の声がした。


「菜紀。今日は天気予報だと昼から晴れるから、お母さんは傘は要らないと思うわ」


「でも、雨が降りそうだよ」


菜紀は言いながら窓を指さした。


「じゃあ、お母さんが学校まで車で送ってあげる」


菜紀は頭を横に振った。


「大丈夫、学校までそんなに遠くないし」


「そう、気をつけてね」


「はぁい、行ってきますっ!」


菜紀は曖昧に返事をして、玄関のドアを開いた。

今日は灰色の空が果てしなく広がっている。