「知ってるひと?」 「……」 …何も答えない。 「ねぇ…」 「……」 あー、これって また無視ですかー? 無視ってやつですかー? っていうか、 それもいつもとちょっと違う? そう思っていると向こう側にいた先生が私たちに気づいたようで、 こちらを見て指差す。 女のひともこっちを見る。 すると中村くんの表情が一瞬、 硬くなり、 それから私の右手首を掴んでいきなり走りだした。 え? え? なに? どうなってんの?