そんな有名になってるとか、
気付かなかった。


やっぱ恋愛初心者だからそういうとこ、
疎いのかもしれない。


そういえば、
食堂に行けば女子たちがよく中村くんのほう見てるよなあ。



でも。

どうなのか、
ってなると私たち、
付き合ってるわけじゃない。


…中村くんに迷惑かけたくない。


それなら、
少し距離を置いたほうがいいのかもしれない…?



そう思ったらなんか胸の奥がチクっとした。



「どうしたの?」


「あ、うん。
ちょっと疲れたね?
どこかお店入って休憩しよっか?」


「うん…、いいけど」


「ほら、さっきの店で買った可愛いサイフ、
見せてよ?」


私は思ってることを誤魔化しながら由美子に言う。