そして彼女は私の手をぎゅっと包むように握りしめた。


「え?なに?」


「いいから、
あげる」



そのとき丁度チャイムが鳴り、
まわりのみんなが慌てて自分の席へと戻る。



「あ、席、戻るね?」



そう言って彼女は自分の席に帰っていった。



私はそっと手のひらをあける。


あ、キャンディだ。

私の好きなココア味。



やった!
ラッキー!


そっとポケットにキャンディを入れながら今日はいいことあるかな、

なんて思う。



われながら単純。