「まあ、気にしないで?
クセみたいなもんだから」


へ?

気にしないでって。

そんな、
わけわかんないこと、
気になるに決まってんじゃないの!

変なクセ!



「なんだか矛盾した考えだけど…。
安心するんだよ。
血の匂いとか流れる血を見てると。
それは…」


「…それは?」


そう話す彼はなんだかいつもの彼とちょっと違う…?


「ああ、でも俺、
吸血鬼じゃないから」


その言葉に途端に私の頭は
「?」だらけになってしまう。


はあ?
元気になる?
吸血鬼って?

どうなってんの!


何言ってんの。


いや、
なんか、
もう、
…わかんない。


「行こうか」


中村くんはそう言うと歩き始める。


そして
今度は私の方が呆然としたままになってしまう。