「ああ、悪い」


「もう!
献血するんだったらさっさと手続きしないと!
迷惑かかるよ?」


「いや、やらないよ」



え?
そうなの?
じゃどうしてこんなとこにいたのよ?


きょとんとした私に彼は一瞬、
戸惑ったような表情を見せたものの、
にこり、と笑って言った。


「俺、血の匂いがすると。
血を見たりすると。
自分で気づかかないうちに、
つい引き寄せられるんだ」



はあ?

なにそれ?

血の匂い?

そんなのわかんないよ。