「ねぇ!
中村くんってば!」


近くで呼んでるのに私に気がついてないのか、
反応がない。


何かに取り憑かれてるみたいじゃん。


「ねえ、献血するの?」


「………」


「中村くん!」


「………」


はあ、
なんかもう、
無視されるのも慣れちゃったよ。




「アナタ、彼の知り合い?」


振り向くと白衣を着た女性、
看護師さんだろう、
私に声をかけてきた。


「え?はい…」


「そう、よかった。
さっきからここでじっとして呼びかけても動かないのよ。
献血協力してくれるのかもわかんないし…」


彼女は一気にそう話すと
はあ、
と迷惑そうにため息ついた。