「か…帰ろうか」


私はできるだけ平静を装って中村くんに言った。


「うん、そうだな」


ああ、よかった、
気にしてないみたい。



そしてまたふたり、
ゆっくりと歩き始める。


ぼんやりと月明かりと街灯の中。



私は一生懸命、
明るくいつものように振る舞い、
話をする。



気にしてないよ、
だから
気にしないで
って、

そう思いながら。