「遅刻だぁ!!!!」
ドタドタと勢いよく階段を駆け下りた。
バタンとリビングのドアを勢いよく開けると、テーブルの上の朝食のパンを手に取るとカプッとひとくち噛みついた。
「まったく。まだ寝ぼけているのかしらね?」
ため息まじりの母親が、対面キッチンの反対側から呆れた顔をした。
「えっ!?」
その言葉にピタリと足を止めて、リビングの壁にかけてある時計を見た。
7時47分。
どう考えても遅刻でしょ?
「今日はテスト前の休みじゃないの?」
「あ…。」
すっかり忘れていた。
「だからお父さんに店番する代わりに…って、おこづかい貰ったんじゃないの?」
ハアッと大きなため息をつきながら、眉をゆがめた。
そうだった。
欲しいドレスがあって。
お父さんとそんな約束をした覚えが…
うっすらと記憶の中に3日前の夜のリビングでのやり取りが思い出される。