「和泉 景!」


昼休み開始と同時に和泉の机に詰め寄り、両手をつく。


和泉は座ったまま、昨日と同じ表情で俺を見る。

無表情だけど、どちらかと言えば不機嫌な顔。


「……何?」


その一言さえも面倒臭そうに和泉は言う。


「お前、その態度何とかなんねーのかよ。すっげームカつく。」
「そりゃそうだろうね。ムカつくようにやってんだから。」



和泉の口角が上がる。

その表情が更に俺を苛立たせた。



「そんなにムカつくなら、関わってこなければいいだろう?」


言われれば確かに……。

けど、このまま引き下がるのはなんか負けた気がする。



和泉は立ち上がって教室のドアへと歩き出す。


「――待った!」


慌てて肩を掴み、和泉を引き止める。


「……なに?」



さっきの倍は眉間にしわを寄せ、和泉は振り向く。


「お前さ、今日から俺のダチな。」
「………は?」
「あー……正しくはダチ(仮)だ。」
「意味分からないんだけど。」


肩を掴んでいた俺の手を、和泉は無理矢理振り払った。



コイツのことムカついてるんだけど、不思議と関わりたくなるっていうか……。
何というか………。



「ムカついてるって言ったじゃないか。」
「ああ、ムカついてる。ムカついてるんだけど………。俺もよく分かんねえから、(仮)にしたんだろ。」
「全然意味が分からない。」



呆れたように和泉は溜め息をついた。