500円消費して、手に入れたのは小さなクマのマスコット。
「ほらよ。」
「一発で取れたら格好良かったのにね。まぁ、ありがと。」
か、可愛くねぇ……!!
この野郎、と文句を言い掛けた口を閉ざす。
口では可愛くないことを言いつつ、意外にもその表情は綻んでいたからだ。
コイツ、ずっとこういう顔してれば可愛いのにな。
ん?
また可愛いとか思わなかったか?
だーから、和泉は男だっての!
と自分に言い聞かせる。
「何見てんの?」
俺の視線に気づき、和泉は不機嫌な顔を向けてくる。
あ、またこの顔か……。
「別に。ほら、次行くぜ。」
俺は出口へと歩き出した。
後ろを歩く和泉の様子を、そーっと窺うと、微笑みながらクマのマスコットを大事そうに手で抱えていた。
そんなに欲しかったのかね。
あのクマ……。
嬉しかったなら嬉しいと言えばいいのにな。
和泉の微笑みに目を奪われる前に俺は視線を前方へ移した。