行きたい所はないかと尋ねたら、特にないと言われたので、俺がいつも遊ぶ場所に連れ回すことにした。


まずは、


「最初はここだ。」
「………うるさい。」



駅前のゲーセン。

店内に入った瞬間、和泉はしかめっ面。



「文句言うなよ。どこでもいいっつったろ?こういう所来たことねーの?」
「……ないよ。悪い?」


ちょっと拗ねた態度をとる。

なんだ。
可愛い顔もするんだな。


っておいおい……
可愛いってなんだよ。
和泉は男だってのに!!



「悪いなんて言ってねーだろ。何やりたい?」


和泉は周囲を見渡して、一つのゲーム機を指差した。

それは沢山のぬいぐるみが詰められた、クレーンゲーム。


「あれ?ゲーム初心者には難しいぜ?」
「新城がやってよ。」
「俺がやんの?俺の金で?」



和泉は頷く。

ああ、なんて意地の悪い笑顔だろう。