「ゴーーーーール!!」



サーキットのスタッフさんが、ゴールしたところでフラッグを振ってくれた。



1着はあたし。



満面の笑みでカートからおりて、サーキットの外で待っていると、ダルそうな顔のナルがやってきた。










「残念だったね~。あたしが勝った!!」



ガッツポーズをしていると、ダルそうな顔がだんだん笑い顔に変わっていく。



「お前って、憎めないよな」



「えぇっ!?」



「他のヤツが同じことをしたらぶっ殺してるけど、お前は許せる」



「ゆっ……許さなくていいよ?このまま嫌ってくれていいから」



「は?嫌いになんて、なるわけないし。やばい、どんどん好きになる……」



そう言って、あたしに抱きつこうとしてくる。



「やっ……やめてよ!どうしてこうなるの!?仕返しして体当たりするとか、女じゃないでしょ」



「今は女じゃないけど、そのうち俺が女にしてやるよ」



「なっ……」



意味あり気に笑われ、とっさに言い返す言葉がなにも浮かばなかった。