「とりあえず、またあの店に戻ろうぜ」


「やだっ!そんなこと言った人と、行けないよ。店員さん、からかわれたと思ってるよ」


「そうなのか?」


「そうだよ。とにかく、今日はもう帰ろう?」


「水族館がまだだろ?」


「行かないってば」


「なんだよ、俺の楽しみを奪う権利がお前にあるのか!?」


「あたしの犠牲の上に成り立つんだけど!」


「うるせぇ、俺のために我慢しろよ」


ナルがあたしの前髪を、片手で掴んでクシャっとしてくる。






「きゃっ、やめてっ」


「だったら今から、ネズミーランドに行こうか」


「…はぁ!?」


「好きな女ができたら、一緒に行きたいってずっと思ってた。俺のガキの頃の夢」


な…な…なんなの、そのかわいすぎる夢は!


ナルらしくなくて、不意打ちの胸きゅんにあってしまった。