「どういうことですか?」


「ナル様、あなたのために家を捨てる覚悟だそうよ。後継者候補から外れれば、誰にも文句は言わせないと言ってね」


あのバカ…。


本当にそんなことを?


「そんな…」


「だから、あなたが三好家の財産を狙っていようが無駄だってことよ。

ただのナル様になんの魅力があるの?お金と家柄がなければ、なにも残らないのよ?」


先輩の言い方に、カチンときた。


「ナルはバカで横暴なヤツだけど、なにも残らないっていうのは言い過ぎじゃないですか?」


「だって、その通りだもの。三好ブランドがあるからこその、ナル様なの。わかる?

確かにイケメンだし、見つめられたら溶けちゃいそうだけど…いえいえ、顔だけでは生きられないの!」


「なにが言いたいんですか?それ以上言ったら、山猿ひっかきをお見舞いしますよ?」


「きゃっ…野蛮だわ。清香さんの言う通りね。品のない子」


「品はないかもですけど、先輩よりはまともなつもりです」


「なによ!あなた、本当は前の学校でヤンキーだったんでしょ?

ナル様を誘惑して、体の関係から入ったらしいじゃない。汚らわしいわ」


「あたしは、そんなことしてません!!そういう妄想、やめて下さい!!」


「もっ、妄想なんてしてないわ!」