いつものナルなら、周りの誰かにさせてそうなことを、


こんなときに限って自らするなんて。


大人な対応をしつつも、心ではあたしに怒ってるってことだよね。


…だって、新居なんて言うから。


あたしたち、付き合ってもないのに。








先輩とふたりでお店を出る。


「少し、落ち着いて話をしない?」


先輩が向かいにあるカフェを指差す。


「だけど、ナルが…」


「しばらくかかるんじゃないかしら。場所は連絡を入れるから大丈夫よ。さあ、行きましょ」


先輩に強引に連れて行かれ、渋々カフェに入る。


ダークグリーンを基調とした、テイクアウトができて、軽食も置いてあるありふれたカフェ。


カウンターで注文をすませてドリンクを受け取ったあと、一番奥のテーブルに向かい合わせに座った。