そう思っていたら、ナルがあたしのとなりに腰をおろした。



「このあとどこに行きたい?」



「特にないよ」



「そう言うなよ。先輩は水族館に行こうって言うんだけど、どうする?」



「水族館……」



デートの定番というか、この近くに水族館なんてあったっけ?



そんな心配は無用なことを、あたしはすっかり忘れていた。








「車で1時間ぐらいか…」



時計を見ながら、ナルがボソッと呟く。



「先輩とふたりで行ってくれば?」



「それだと意味がない。お前も一緒じゃないとな」



ナルがあたしに肩を寄せてくる。



ナルがそう言ってくれるから、頷こうとしたとき先輩が試着した姿で走ってきた。