次のお店で先輩は、肩の大きく開いたドレスを試着している。



一体、どこに着ていくの!?



ナルに品定めをしてもらい、次から次へと服を着替えている。



……こんなデート、ありえない。



男の人ってこういうの、疲れないのかな。



あたしでさえ、もう限界。



他人の買い物に付き合うのって、あんまり楽しくないかも。



店内のソファに座っていると、ナルが近づいてきた。



「疲れたろ?外になにか飲みにいこうか」



「あたしは大丈夫だよ。先輩の買い物に付き合わなきゃ。デートの予習なんでしょ?」



「そうだけどな…葵が楽しそうにしてないから、あんまり意味がない気がしてきた」



――ドキッ。



……そのとおりだよね。



デートって、別にどこに行くから楽しいとか、欲しい物を買うから楽しいとか、



そういうのじゃないよね。



ただ、ふたりでゆっくり話せる時間があれば、それでよくて。