「いや、まあ…そうだけど…」
亮ちゃんがすこし渋っているのが見えたが、わたしは急いでるからと猛スピードで体育館裏のトイレへ走った。
「はあ…っ、きて、ないよね…」
ちらちらと辺りを確認して、ひとがいないのを念入りにチェックし、握りしめていたココアの缶をじっと見つめる。
ちゃんとタブのところが浮いてるのが、リアリティーがあって、さっきまで"亮ちゃんが飲んでいた"ことを実感した。
さすがに、学校ではこの缶をどうするとか実行には移さないけど、だけどわたしは満足していた。
久しぶりの亮ちゃんを見れたことに。