真っ暗だけど、月明かりに照らされて、人影が見える。


あのシルエットは綾斗だ…。



「あや…」

「なんなんだろうな、」

「えっ……」



ちょっと、苦笑いな綾斗。



「もしかして…」


もしかして、さっきの話、聞いてた?



「あのクソ親父、最後の最後までワガママだ」

「綾斗…」

「でも、そんなクソ親父を尊敬してる俺も俺なのかもな」

「…………」



ベッドに座り、俯く綾斗。



そんな綾斗にあたしは近づく。



「綾斗は幸せ者だね」

「そうか?」

「だってそうじゃない。見ただけでわかる、珠樹さんの綾斗への愛情が」


それはきっと、珠樹さんだけじゃない、綾斗のママさんも、変わらない愛情を持ってるんだと思う。