「如月くん、悪かったね…」
「あ、いえ…」
「今日からまた頼むよ」
「はい」
雅との映画の撮影も、再開することになった。
監督も雅が倒れたのをかなり気にしてるみたいで、前よりも怒らなくなった。
「綾斗、雅ちゃん大丈夫かしら?」
「しらねー」
「仕事のことだと、厳しいのね」
「仕事とプライベートは別物だろ」
厳しいとは思うけど、仕事は仕事。
「あ、綾斗…」
「雅?」
「よろしくお願いします…」
「ああ、うん…」
いや、ほんと、こいつ大丈夫なのか?
明らかに緊張してるのがわかるし、覇気もなければ、声も小さい。
周りも雅を心配したような目で見ている。