「うた!うたうたうたうたうた~!」
「ん?!なに?!おおおおおおお!!!」
ムンクの叫びみたいな
あのdocomoの絵文字のような
この真夏日にまさかの目覚め方
「「NEBOU!!!」」
歌彦と陽太は寝坊した。
明日から夏休み♪なーんていう
ルンルンな気分の朝に寝坊した
「急いで支度しろ!陽太!」
「はいっ!」
高校三年生の歌彦には、
進路がかかっている。
同じ学校に通う陽太は、
特待生として免除されて入学したので
単位を下げることは避けたい。
制服をバッ!と着て、家を出た。
────!!!
玄関を開けてすぐ、
目に入ったのは、小さい女の子の姿
「どーした?」
「どーこーのー子♪?」
女の子は顔を伏せたまま
体育座りして、頭をあげようとしない。
歌彦が持ち上げて高い高いをするように
持ち上げて顔をみた。
軽っ!!
こんな軽いもんなの?!
「あっ」
「あっ!」
女の子の傷だらけの顔をみた。
「お前…逃げてきたの?」