◇
正直なところ、本当に花火大会に行くのか、ちょっと不安だった。
でも、前日の夜。本城くんからLINEがきて、改めてもう一度誘ってくれたから、やっぱりその夜はなかなか眠れなくて。
『あしたはよろしくお願いします』なんて律儀な文章に、思わず笑ってしまった。かわいいひとだ。スクリーンショットで残しておこうか本気で迷ったくらい。
やっぱり好きだな、こういうところも全部。こちらこそよろしくお願いします。
「お母さーん! 浴衣出しといて! そんでもうちょっとしたら着付けてー!」
「ええっ? 急になによお」
「花火大会行くから、きょう!」
6日の朝、起きてくるなり挨拶もなしにそう言ったわたしに、お母さんはあからさまに困った顔をした。浴衣なんてどこにしまってあったかなあ、なんてぶつぶつ言っている。
「ていうか、花火大会なんて誰と行くの、小町」
「えー。べつに誰だっていいでしょ」
「えっ! もしかして男の子? 彼氏?」
「ち、ちがうよ!」
「あらあ、小町もスミに置けないねえ」
「ちょっと! ちがうからね!」
あらそう~、なんて。口元に手を当ててにやにやしているお母さんは、いつまでたってもまるで少女みたいだ。
というより、うちのお母さんって恋の話が好きなのかもしれない。実際よく「彼氏いないの?」とか「好きなひとは?」とか、いろいろ訊かれるし。
「お父さんには秘密にしとかなきゃね」
「もう、お母さんってばあ」
恥ずかしい。お母さんに本城くんのことを話すのはやっぱりまだまだ先になりそうだ。
正直なところ、本当に花火大会に行くのか、ちょっと不安だった。
でも、前日の夜。本城くんからLINEがきて、改めてもう一度誘ってくれたから、やっぱりその夜はなかなか眠れなくて。
『あしたはよろしくお願いします』なんて律儀な文章に、思わず笑ってしまった。かわいいひとだ。スクリーンショットで残しておこうか本気で迷ったくらい。
やっぱり好きだな、こういうところも全部。こちらこそよろしくお願いします。
「お母さーん! 浴衣出しといて! そんでもうちょっとしたら着付けてー!」
「ええっ? 急になによお」
「花火大会行くから、きょう!」
6日の朝、起きてくるなり挨拶もなしにそう言ったわたしに、お母さんはあからさまに困った顔をした。浴衣なんてどこにしまってあったかなあ、なんてぶつぶつ言っている。
「ていうか、花火大会なんて誰と行くの、小町」
「えー。べつに誰だっていいでしょ」
「えっ! もしかして男の子? 彼氏?」
「ち、ちがうよ!」
「あらあ、小町もスミに置けないねえ」
「ちょっと! ちがうからね!」
あらそう~、なんて。口元に手を当ててにやにやしているお母さんは、いつまでたってもまるで少女みたいだ。
というより、うちのお母さんって恋の話が好きなのかもしれない。実際よく「彼氏いないの?」とか「好きなひとは?」とか、いろいろ訊かれるし。
「お父さんには秘密にしとかなきゃね」
「もう、お母さんってばあ」
恥ずかしい。お母さんに本城くんのことを話すのはやっぱりまだまだ先になりそうだ。