◇
7月30日は驚くほどの晴天で。朝、目が覚めてカーテンを開けたとき、なんとなくきょうは素敵な日になるような予感がした。
「――あんこー! 霧島! こっちこっちー」
競技場につくなり、えっちゃんに名前を呼ばれた。遠くから大きく手を振ってくれる彼女に駆け寄る。傍に守田くんと野間くんもいた。
えっちゃんはめずらしく長い黒髪をポニーテールにしていて、なんだかいつもより美人に見える。両耳に光るピアスもうれしそうに揺れている気がした。
「えっちゃん、おはよー。場所取りありがとう!」
「いえいえ。それにしてもあっついねえ、きょう」
タンクトップの袖口から伸びる白い腕をまぶたにかざし、彼女は大げさな苦笑を浮かべる。
思わずどきっとしてしまった。あまりにもその仕草がきれいすぎて。やっぱりえっちゃんは、同性のわたしから見ても本当に魅力的だ。
「いやあ、それにしてもこの炎天下で走るんだね、本城。素直にすごいわ。あ、霧島飲み物買ってきてー」
「ああん? なにさらっとパシってくれてんだ、ふざけんな」
「だって暇そうだから」
「ひとつも暇じゃねえよ!」
やっぱりふたりはきょうも仲が良いなあ。ぎゃあぎゃあ言い合っているふたりがかわいくて、顔の筋肉が緩んでしまう。
正直、えっちゃんとちーくんには報告しようかすごく迷った。きのうの夜、本城くんと会ったことも、花火の約束をしたことも。
でも、なんとなく言えなかった。秘密にしたいとかそういうんじゃなくて。
だって、まだあれは夢だったんじゃないかって思えて、仕方がないんだもん。
7月30日は驚くほどの晴天で。朝、目が覚めてカーテンを開けたとき、なんとなくきょうは素敵な日になるような予感がした。
「――あんこー! 霧島! こっちこっちー」
競技場につくなり、えっちゃんに名前を呼ばれた。遠くから大きく手を振ってくれる彼女に駆け寄る。傍に守田くんと野間くんもいた。
えっちゃんはめずらしく長い黒髪をポニーテールにしていて、なんだかいつもより美人に見える。両耳に光るピアスもうれしそうに揺れている気がした。
「えっちゃん、おはよー。場所取りありがとう!」
「いえいえ。それにしてもあっついねえ、きょう」
タンクトップの袖口から伸びる白い腕をまぶたにかざし、彼女は大げさな苦笑を浮かべる。
思わずどきっとしてしまった。あまりにもその仕草がきれいすぎて。やっぱりえっちゃんは、同性のわたしから見ても本当に魅力的だ。
「いやあ、それにしてもこの炎天下で走るんだね、本城。素直にすごいわ。あ、霧島飲み物買ってきてー」
「ああん? なにさらっとパシってくれてんだ、ふざけんな」
「だって暇そうだから」
「ひとつも暇じゃねえよ!」
やっぱりふたりはきょうも仲が良いなあ。ぎゃあぎゃあ言い合っているふたりがかわいくて、顔の筋肉が緩んでしまう。
正直、えっちゃんとちーくんには報告しようかすごく迷った。きのうの夜、本城くんと会ったことも、花火の約束をしたことも。
でも、なんとなく言えなかった。秘密にしたいとかそういうんじゃなくて。
だって、まだあれは夢だったんじゃないかって思えて、仕方がないんだもん。