そよそよと静かに風が吹いていた。
ハーフタイムも残り少ない。
ひとときの間、この静寂を楽しみたかった。
上江田は、熱心にブチ切れシステムを一人一人に説明していた。
もはや、ハヤトは止める気にはならなかった。
それよりも、この心地良い風を楽しんでいたかった。
しかし、時が過ぎるのは早いもので、すぐさま現実へと引き戻す声が響く。
「そろそろ、後半戦開始するぞー」
ハヤトは、ゆっくりと立ち上がり上を見つめた。
透き通るぐらいの青い空が浮かんでいた。
しばらく空を見つめていると、上江田がこちらに戻ってハヤトに声を掛けた。
「皆、納得してくれたぜ。俺たち以外、全員攻撃するように言っておいたから、助け船には期待しちゃアカンよ」
ハヤトは、ハッキリとその言葉が耳に入ったが、聞こえないフりをして呆然と空を見つめていた。