ハヤトは、唖然としていた。
体力テストで最下位を争うこの男が。
サッカーは、ほとんど初心者のこの男を期待していると言うのだ。

それに、先ほどから片言で話している上江田を見ていると、おかしくなったのではないか?
そのような疑問が、ハヤトの脳内を飛び交っていた。

「内海、噂ではお前、最近よく走ってるらしいじゃないか」

……
それは、昨日の帰りと今日のことか。


「走りたくもないのにな」

ハヤトはしれっと答えた。
また、いつもの面倒病が発生してきたのだ。
DFが一人。 すなわち、全ての守備をカバーすることを表わしていた。
できるわけがない。
ハヤトは早くもやる気を無くしていた。

「というわけだから、他の皆に伝えてくる」

上江田はすぐさま立ち上がって、様々な場所で座り込んでいる選手たちの方へと走って行った。

「おい、待てよ」

ハヤトはすぐさま止めようとするが、無視され、上江田は去っていった。


ブチ切れシステム 1‐5‐4。
攻撃しか意識していない作戦に、ハヤトは深く溜め息をついた。