「お待たせさま~」
麗奈はそう言うと、人数分のお茶をそれぞれの場所に、丁寧に置いた。
「なぁ、母さん。ちょっと聞いてくれないか?」
麗奈は、お茶を両手で持ちながら、「なあに?」とハヤトのほうを見た。
「なんで、美空が来ることを言わなかったんだ?
一ヵ月前から知っていたはずだろう?」
内海は、母親にたいして疑問をぶつけた。
何故、内緒にしとく必要があったのか?
答えようによっては、厳しく怒るつもりだった。
「だって、楽しいことは突然のほうが面白いでしょう?」
ハヤトにとって、的外れな答えが返ってきた。
もはや、怒りようがないくらい飽きれていた。
呆然としているハヤトを無視して、美空が口を開く。
「でも、ハヤトくんが言うには、空いてる部屋がハヤトくんの部屋しかないと聞いたのですが…」
美空の言葉を聞きながら、麗奈は一口、茶を啜った。
いつもにこやかな笑顔。
これだけで、怒る意欲をなくすぐらいだ。
「あら、部屋が二つしか空いてないのなら、ますます楽しいじゃない。トランプでもして遊んでなさい」
2人っきりでトランプか…
内海は、さっきから黙りこくっていた。
だされたお茶も飲む気にならなかった。
とにかく疲れたのだ。