……
なにを言いだすかと思えば…

「却下。今のまま、内海って呼んでろ。」

正直、学校で下の名前で呼ばれると、あらぬ誤解を受けそうで心配だから却下。

「じゃあ、ハヤトちゃんって呼ぶことにする」

……は?
ハヤトより最悪だろ…
第一、学校でハヤトちゃんなんて呼ばれてたら恥ずかしいどころではない。

「どうするの??ハヤトがだめならば、ハヤトちゃんって呼ぶよ」

美空は、悪戯っぽく笑っていた。
それにしても、どうしてこいつは、ハヤトに拘るんだ?
さっきまで、内海で通してたのに…
内海は、美空の考えていることが全く理解できなかった。
しかし、ハヤトちゃんと呼ばれるよりはマシなので、条件を承諾することにした。

「わーったよ。ハヤトでいいよ。ハヤトで」

美空は、内海の面倒くささが滲みでてる態度に、頬をプクっと膨らませてみせたが、すぐに笑顔になりハヤトに言う。

「うん!これからよろしくね!!ハヤト!」

なぜ、美空がハヤトと呼ぶことに拘ったのか。
それは、麗奈の影響からだった。
麗奈は、ただ単に、かわいいあだ名をつけているだけだが、美空にとって、大切な人には、あだ名で呼びたいという思いがあった。
ある一種の好意を少しだけ、ハヤトに抱いていたのだ。
しかし、この男は全く気付くことなく、相変わらずダルそうに、右ひじをテーブルにつけていた。