その状況を、だいぶ前から観察していた男が、内海に声をかける。


「内海、お前さ、時計に恋してんの?」


「いや、暇だから時計見てた。恋とかは一切、関係ない」


「ふーん、お前も変わってるな」


今、内海に声をかけた男が上江田 歩。
影内とは、小学校からの幼馴染みだ。
と、いっても、この土地の周辺は、人がとても少なく、クラスのほとんどが幼馴染みだった。


部活は、サッカー部に所属。
頭髪検査には、一回も引っ掛かったことがないのが自慢というヘアースタイルは、角刈りだ。