「…つーか、ホントにくれると思わなかった」
ボソリ、あたしがあげたブラウニーの包みを見ながら、若宮が呟く。
「まぁね!
あんたがチョコ作んないと数学の課題見せないとか姑息な手段を使ってくるからね!!」
「お前がやってこないのが悪いんだろうが」
その時チラリと、若宮が彩を見たような気がした。
ハッ!!!
てか若宮、本当は彩にチョコ貰いたかった筈だよね!?
でも多分、彩にはラブラブな彼氏いるから言えなかったんだよね。
それで、その八つ当たりか憂さ晴らしか知らないけど、仕方なくあたしに…!?
そこまで瞬間的に推理を巡らせたあたしは、再び溢れそうになる涙を堪えながら若宮の肩を叩いた。
「……切ないよね、恋って……!!」
「…は?お前何言って「何も言うな!分かってるから…!!」
「……頭大丈夫か?」
本気で心配そうな顔をして若宮が聞いてくる。
「ホント、切ないよね恋って……!!」
青春だぁあああー!!!!!!
「……何だよお前。
………お前、まさか好きな奴「ゆーうー!!!」
その時、神崎がガバッと若宮に背後から抱きついた。
「お前さぁ今日何個チョコ貰った!?俺は軽く三桁突入だな!!あっこれチョコ??」
あたしのブラウニーに触ろうとする神崎。
「触んな」
若宮はそれを振り払うと、あたしのブラウニーを持ったまま不機嫌そうに教室を出て行った。
……え?てか何でこんな急に不機嫌オーラ全開?
……あたしに彩への気持ちがバレたから?
…あたし、ちょっと無神経だったかな。