「ねぇクリスマスどっか行こうよ悠~」
「別にいいけど?」
「えっホント!?やったぁ♪」
今日もあたしの隣の席で女子とイチャつく若宮。
入学式から二回ほど席替えがあったが、なぜか毎回若宮と隣の席。
席替えの神様に嫌われているとしか思えない。
「えぇーずるい!
あたしも悠と出掛けたい!」
「いいじゃん、皆でどっか行こうぜ」
「うそっやったぁ♪」
若宮の周りを取り囲む女子たちのお陰で、あたしは大分窓際に追いやられている。
そのお陰で、あたしよりさらに窓際寄りに座る田中くんはもっと大変なことになっている。
もしも田中くん転落事件が起きたらそれは間違いなく若宮のせいだ。
「おいブス」
すると突然、ハーレム若宮があたしに話しかけてきた。
「その顔じゃ当然クリスマスの予定もねぇんだろうなぁ、可哀想に」
「クリスマスに顔関係ありませんけど」
「お前みたいなブス誰も誘ってくれねぇだろ」
「は?残念でした!
中学の時のクラス会に誘われてるもんね!へーんだ!」
別に彼氏とかいなくていいもん。
クリスマスは中学時代の友達と楽しく過ごすんだもんね!
「へーぇ。そのクラス会男も来んの?」
「は?当たり前じゃん。女子校じゃないし」
「行くな」
「はぁ?」
すると突然不機嫌そうな顔つきになった若宮がそう命令してきた。
「何で?」
「いいから行くなよ。
クリスマスなんて篠崎とでも過ごせばいいだろ」
篠崎っていうのはあたしの親友の篠崎彩(シノザキアヤ)のこと。
「彩彼氏いるもん」
「じゃぁ寂しく一人で過ごせ」
「はぁ?意味わかんない。
何であんたにそんなこと決められなきゃいけないわけ?」
ほんと意味わかんない奴だ。
「…別に意味なんかねぇよ。行こうぜ」
あたしの言葉に眉をしかめると、若宮は女子たちを引き連れてどこかに行ってしまった。
何だアイツ。