「佐倉くん!
ほんとに欲しいものは追いかけないと!!!!」
「うーん、
どっかですごい聞いたことあるセリフなのは俺の気のせい?♪」
「海外行っちゃった幼なじみのこと、まだ好きなんでしょ?
まだ間に合うよ!
追いかけよう!!!!!」
そしてあたしは若宮のケータイを佐倉くんに差し出す。
「これ国際電話できるヤツだから!はい!!!」
「……お前には言いたいことが山ほどあるけど
仕方ないから貸してやる。感謝しろ」
「…うーんと、アレ?♪」
佐倉くんはニッコリ首をかしげると
「言ってなかったけ?
俺付き合ってるよその子と♪中3の時から♪♪」
「「……え!?」」
見事にハモったあたしと若宮。
あっハッピーアイスクリームって言うの忘れ…じゃなくて!!
「うそ!?」
「ほんと♪じゃなきゃあんな偉そうなこと言えないでショー♪」
そしてポケットからケータイを出して、待ち受け画面をあたし達に見せる。
…綺麗系な女の子と、仲良くピースする佐倉くんがいた。
「……お幸せそうでなによりです」
「どうもありがとうございます♪」
佐倉くんはケータイをしまうと
「そちらこそ、お幸せそうで何よりです♪
じゃっ俺ちょっと空港行ってくるわー!
彼女今日帰ってくるから♪」
廊下は走らない、というポスターを完璧無視して軽快に廊下を走って行く佐倉くんの後ろ姿は幸せそうで。
「…よかったよかった」
「…ほんとよく分かんねーな、アイツ」
誰にでも大切な人はいるってことです。