琴平さんは無言で、無人の音楽室まであたしを連れてきた。
「あ、のー…あたしに何か用事でも?」
「…あたしと悠はね、保育園の頃から一緒のピアノ教室に通ってたんだ」
あたしの質問に曖昧に微笑むと、琴平さんはピアノの前に座り、滑らかに鍵盤に指を滑らした。鮮やかなメロディーがそこから流れ始める。
「悠はすっごくピアノがうまくて、天才だなんて言われてた。
中学に入ってサッカー部が忙しくなってやめちゃったけど…」
「へぇ、そうなんだ…」
あいつピアノまでひけるのか。
「…笑佳ちゃんは、悠のこと好き?」
「え!?ちょっと琴平さんまでやめてよ。あたしと若宮はそんなんじゃないから!好きどころかお互い嫌いあってるよ」
「…そうかな?笑佳ちゃんはそうでも…悠はすごく、笑佳ちゃんのこと、気にいってるように見える」
「若宮がぁ?そんなバカな」
「…そっか。あたしの勘違いかな?
あたし、悠は笑佳ちゃんのこと好きだと思ってて」
若宮があたしを
好き!?