「飯、食うか?」
兄ちゃんは煙草に火をつけ、目だけを傷だらけの男に向けた。

私は掛け時計に目を向ける。
まだ4時だ。
「あいつら、まだ起きてないよ」
あいつらとは、朝飯係の組員だ。

「や、あの‥だいじょ「まぁ、飯食わねぇと治るもんも治らねーし」
男の声をさえぎる。

「てゆうか、あんた名前なんての?」
「桃山 慶(モモヤマ ケイ)」
「ふーん。
私は、山本組組長の娘の星野椿。」
「俺は、山本組組長の息子の星野優。」
「「よろしく」」

兄ちゃんは作り物の笑顔で、
私は無表情で言う。

瞬きを何回もする慶。

「俺の事、なんてきいてる?」
「鋭い目をもつ男」
兄ちゃんが、鋭い目、ねぇ。
兄ちゃんは私にはそんな目を見せた事はない。

「じゃぁ、私の事はなんてきいてんの?」
「人形。 表情も無く、感情も無い人。 喧嘩をすると、絶対病院送りにするってきいた」
「椿そんな事皆に思われてんだ?」
ククッと笑う兄ちゃん。