そして小さな記事に目を止める。
「ん、あった。名前、肩書きも載って……あいつ、公務員だったの!?しかも常習犯……クズ!クズ!!」
新聞を丸めようとした瑠稀の手から、瑠稀の母親がそれを取り上げて読み始める。
「はー。手が込んでるのね、今の痴漢って。電車に乗る前にわざとぶつかって、相手が謝ってきたらターゲットにするって」
「お母さん、感心するとこじゃない。あー思い出したら腹立ってきた……もっと脅しとけばよかった……」
「いや、それは……」
眉間にシワを寄せた瑠稀に学が遠い目で呟く。
「え?何?」
「もう二度とやんないよ。っていうかできないよ。瑠稀ちゃんにあんだけ言われてさらに莉央にまで……」
「何で知って……あぁ、レシーバー付けっぱだったからか。ん?莉央さんにまで?」
首を傾げた瑠稀が学を見上げる。