莉央を浴室に案内し、戻ってきて朝食の準備を始めた瑠稀に頼まれて新聞を取りに1階の玄関まで行く。
それを取って戻ると、ちょうど学がすごいことになっている髪を手で梳きながら出てきたところだった。
癖のある髪は学の言うことを聞かず、あちこちに跳ねたままだ。
「はよー。……寝過ぎた」
昨日、昼食を取ったあと1回も起きなかったから、当たり前だろう。寝過ぎだ。
「体調はどう?」
寝間着から普段着に着替えた瑠稀の母親が訊く。
「もう元気になりました。お世話になりました」
「そう、よかったわ。莉央君が出たらシャワー使いなさいな」
「ありがとうございますー」
準備を中断し、学にスポーツドリンクを渡した瑠稀が新聞を広げる。