「明日から一週間帰れそうにないからお金置いていくから適当にやっといてね。」
母はそう言うと一度フライパンの火を止めバッグから財布を取り出した。
「8万円ぐらいあれば一週間は大丈夫よね?」
そう言うと私の目の前に無数の一万円札をさし出してきた。
「いらない。」
私は無数の一万円札を持った母の手を払いのけた。
「全てお金で解決しようとしないで。」
私は言った。
「しょうがないじゃないの!お母さんは仕事なの!あなたにかまっている暇はないの。もう16歳なんだからわかってちょうだい!」
母は日ごろの仕事の疲れかは知らないが怒鳴りあげてきた。
「何にもわかってないくせに...。母親面しないでよ!」
私は母を睨んだ。
「親にむかってなんてこと言うの!」
母は私の頬を叩いてそう言った。
私はおもいっきり叩かれた頬を押さえ、気づくと私の足は玄関へと向いていた。
「待ちなさい、幸っ!!」
私は振り向かず、家を飛び出した。
何も考えずただ走り続けた。