私は母の言うとおりの駅に向かった。家からさほど遠くはない駅だ。
駅の前の無駄にでかいマンションに入り308号室へと向かった。
鍵をあけて家に入ると無数のダンボール箱が置いてあった。
リビングや部屋には家具がちゃんとそろえられていた。
私は仕方なくダンボール箱の中身を整理し始めた。
「ん...?」
私は見覚えのある写真を見つけた。
母の仕事の書類に挟まれていたのは、家族4人で旅行に行ったときの写真だった。
父のさりげない一言で旅行に行くことになりはじめて家族が一つになった気がした。
私は写真を書類の中に挟んでダンボール箱にもう一度しまった。
ある程度片付けが終わり新しい自分の部屋のベッドに横たわっていた。
ガチャッ。
部屋のドアが開き母が入ってきた。
「ただいま。幸、久しぶりにお母さんがご飯作るからね。」
そういうと部屋のドアを閉めてキッチンへと母は向かった。
私は部屋から出てリビングのソファーに横たわりテレビをつけた。
「最近学校はどう?」
夕飯を作りながら母は聞いてきた。
私は何にも答えなかった。どうせ興味ないくせに聞かないでよ。
そう思ったが口には出さなかった。