「……あ、」



ある日の夜。あたしは自室でひとり、何とも間抜けな声を出していた。






しまった……。


明日は英語の小テスト。小テストといっても軽いものではなく、成績に影響する大切な試験であって。





今日は遅くまでちゃんと勉強するぞ!と意気込んでいたわけなのだが。



「教材学校に置きっぱなしだ……」





試験範囲の載った教材を丸々学校のロッカーに忘れてきてしまった。最悪。



「ど、どうしよう……」


そう呟いてみるものの、どうすべきかなんて忘れたと気付いた時からとっくに決まってる。





おろおろと部屋を行ったり来たりしてても仕方ない、取りに行かなくては。




「まだ9時前だし、先生も一人くらいはいるよね……」



不安を隠しきれずに、ぶつぶつと一人言を呟きながら部屋を出る。



ガチャリ、部屋の鍵を閉めると辺りにその音だけが響きやがてしんと静まり返る。






廊下がいつもより薄暗い気がして身体を震わせながら学校へと足を進めた。




さっと取って帰ってくればいいだけなんだから……大丈夫だよね。








必死で自分に言い聞かせながら寮を出る。ざわ―――と風が音を立てて騒ぎ、乱れた髪を直そうとした時。






「おい」