「斎、ちょ……っ」




にこにこと笑みを浮かべたままの斎の顔がゆっくり近付く。


唇を噛み締めたまま目を逸らすことすら出来ないあたしの頭は働く気配を見せない。





「っ……!」



固まったままのあたしの頬をふわりと撫でた斎が首筋に顔を埋めたと思うと、瞬間、チクリと痛みが走った。






鈍くて、甘い痛み。



「俺のもんだって印、隠すんじゃねぇぞ?」





は……、と荒い息が溢れる。


「い、つき……っ」





「そんな声で名前呼ぶなよ、堪らなくなるだろ」



そっちだって、そんな顔で見つめないでほしい。多分、ドキドキしてるのはお互い様。







付けられたキスマークを指でなぞられるだけでゾクリ背筋が震える。



この人、どうしてこんなに色気があるんだろう……心臓持たないんですけど。







「なぁ蒼空、ずっと俺の傍にいてくれるんだろ……?」





斎はあたしの髪を弄びながら問いかける。その瞳に不安の色を宿しながら。







「……心配ですか?」



信用、されてないわけじゃないとは思うけど。