あたしは遥登君に小さく頭を下げて寮を飛び出し、あてもなく櫻田君を探した。
どこにいるんだろう……。
まだ学校内にいるのかな、残ってる生徒に聞いてみようか。あたしは櫻田君の眼鏡をしっかりと持ち直して校舎へと踵を返す。
「あ、あのっ」
あたしは校内に残っていた男の子たちに手当たり次第に櫻田君の行方を聞いた。
「ああ、湊なら学校終わってすぐ帰ったよ。寮にいるんじゃね?」
それが寮にいないんですよ……。
でも、
「あっ、ありがとうございます!」
恐らく彼は学校にいない。そのことが分かっただけでも十分な収穫になった……と、思う。
あたしは親切な男の子たちにお礼を言ってから、その場を後にした。
学校にいないとなると、後は外しかないんだけど。
とりあえずこのまま帰るわけにはいかない、あたしはすっかり暗くなってしまった外へと足を向ける。
「……あ!」
それから。校舎内をぐるぐる探し回ってた時とは裏腹に、櫻田君を見つけるのに時間は掛からなかった。