今までずっと一緒にいたのに、恋人という形になった途端意識してしまう。
目を合わせることすら、相当な勇気が必要になってしまうくらい。
でもそれは、……毎日毎日好きって気持ちが強くなっている証拠で。
「……っ、」
「蒼空、手ぇ冷たい」
そっと触れた手、そのまま強く握られる。
「斎の手は、あったかいですね……」
繋がった手と手に視線を落として呟く。しばらく二人の間に静かな時間が流れた。
「お前が照れて俺を避けるのも分かるけど、やっぱちょっと寂しい」
「斎、」
「恥ずかしがっても構わねぇよ。……けど、頼むから俺から離れないでくれ」
ぎゅ、と手に力がこもる。間を置かずにあたしも強く握り返した。
「斎、信じてほしいです。あたしは斎が大好きです……離れるなんて有り得ませんから」
斎の掠れた声で気付いた。彼にどんな思いをさせてしまっていたのか。
想ってることはちゃんと言わなきゃ。……大切な人を失わないように。