「お待たせしましたお姫様」


王子を気取った慎一さんがゆいちゃんの前に跪く。相変わらず様になってるなあ……。





すっかり綺麗になったぬいぐるみを見たゆいちゃんは、キラキラと目を輝かせながら歓声を上げた。



「わー!きれいなった!」


ぬいぐるみを受け取って力強く抱きしめる。無邪気にはしゃぐゆいちゃんを見てあたしは一安心した。



ゆいちゃん嬉しそう……良かった。





「さすが慎一兄さん、助かったよ」


ありがとう、と、あたしの後ろから遥登君が顔を覗かせお礼を言う。




「大したことしてねぇよ」



少し照れたように目を逸らした慎一さんがわしゃわしゃとゆいちゃんの頭を優しく撫でた。






「もう汚しちゃだめだぞ」


「うん!ありがとお兄ちゃんー!」







ゆいちゃんは顔を綻ばせながらうんうんと何度も頷く。慎一さんも本当に幸せそうにくしゃり笑った。