慎一さんが作業に取り掛かっている間、あたしたちは出された紅茶を啜りながら待っていた。


このくらいなら数十分で終わるみたい。ゆいちゃんも何だか嬉しそう。









「おかえりなさい遥登君、どこに行ってたの?」


ちょっと待ってて、と言い残して慎一さんが作業をしてる奥の部屋へ行ってしまった遥登君が戻ってきて自然とあたしの隣に座る。




「んーちょっとね」


言葉を濁した遥登君に違和感を覚えつつ、これ以上何かを教えてくれる雰囲気ではなかったので気にしないことにした。








「まだかなーまだかなー」



足をブラブラ動かしながら声を弾ませるゆいちゃんに、あたしまで楽しくなる。


「ゆいちゃん、あのぬいぐるみ大切なんだね」




「うん!お母さんが作ってくれたのー!」


おお、お母さんの手作りぬいぐるみらしい。そりゃあ大切だよね。





あたしも小さい頃お母さんが作ってくれたブレスレットが宝物だったっけ。










ゆいちゃんの笑顔をぼんやり眺めながら昔のことを思い出していると、後ろから声がした。