どうやらさっき遥登君が冗談で言った親子に見えるって話、慎一さんは本気でそう思ってるみたい。





「そんな軽い男だったのかよ、お前は」




「違うってば!頼むから落ち着いてくれよ」






遥登君が慌てて誤解を解こうとしても、慎一さんはまるで聞き入れようとしない。



しまいにはビックリしたのか、傍にいたゆいちゃんが泣き出してしまった。







「大丈夫だよ、ゆいちゃん」



悶着を起こしている二人から顔を背けさせるようにゆいちゃんを抱き上げ、トントンと背中を叩いて落ち着かせる。













そしてようやく。



「だから俺と蒼空は付き合ってないし、まして子どもなんていねぇよ!!」



数分の争いの末、やっと決着がついたみたい。






「あ、そうなん?」



ケロッと表情を変えた慎一さんは椅子に座り直すと、なーんだ、と笑った。





「そうならそうと早く言ってくれれば良かったのによーははは」



「最初っからそう言ってたよ!!」








どうやらこの癖のあるお兄さん中々手強いみたい……。