「紹介するよ慎一兄さん、彼女は浅村蒼空」
「は、初めまして……!」
戸惑いつつもペコリ頭を下げると、慎一さんは笑顔で握手を求めてくれた。
「初めまして蒼空ちゃん、俺は河野(コウノ)慎一。いつも遥登が世話になってんな」
「あ、いえこちらこそ」
この人、すごく柔らかく笑うんだなー……癒される。
「で、この子がゆいちゃん」
遥登君がゆいちゃんの名前を口に出した瞬間、
「え」
口角を上げたまま視線を移した慎一さんの身に変化が起きた。
ゆいちゃんの前でしゃがみこむ慎一さんは思考が停止してしまったみたいに固まり動かない。
暫くの間。やがて何も言わずにフラり立ち上がった慎一さんは遥登君をギロリ睨み付けた。
「お前、いくつで生ませたんだよバカ野郎が」
へ?あたしと遥登君の声が重なる。……お兄さん、今何て?
「何の覚悟もできてねぇ奴が無責任に孕ませやがって……」
「ちょ、ちょっと待ってよ慎一兄さん!」